田坂広志著「直観を磨く 深く考える七つの技法」書評感想

思考法についての本。直感と論理を融合することで、深く考えることができ、最高の思考力が生まれるという内容。

前半はどうやって深く思考するかについて、論理的思考を7つのパターンにわけた考察。これは一般的な思考の分析。

後半はいわゆる直感についてで、曖昧で分析できない”カン”のような部分に入っていく。前著でも触れられていたところで、それを更に深く考察している。

偉大なことを成し遂げた天才たちは、自分の力ではなく、何かに動かされるように仕事をしている感覚を持っているという。それでは、天才たちに降りてくる叡智とは何なのか。筆者はその説明を量子力学などを使って試みている。

更に、天才でない我々が叡智を受けてとるために、直感と論理をうまく組み合わせた賢明な自分というものを設定する。そして内面にある賢明な自分とどうすれば対話ができるかの技法が示されている。呼吸法など身体的な条件も重要で、その方法も同時に示している。

ことわざの「人事を尽くして天命を待つ」、「果報は寝て待て」や、スポーツの世界のゾーンに入るなども、この不思議な世界に関係しているのだろう。自己啓発本でよくある潜在意識や引き寄せの法則などもこれに類するものだと思う。筆者はこの世界を論理的に説明しているとともに、積極的に使うための具体的な方法を提示している。トンデモ本とは異なり、考えさせられる内容の本だと思う。