著者は元電通のコピーライター。シンプルな文章術についての本。
人に読んでもらうために書くのではなく、自分の書きたいことを自分に向けて書くというシンプルな考え方をもとにしている。
ただ、好き勝手に書けばよいと言っているわけではなく、大事なところはおさえている。物書きは「調べる」が9割9分5厘6毛といい、徹底的に調べることの重要性も指摘している。更に、人の内面を語るつまらなさ、言いたいことをダイレクトに語る愚かさも。
何が言いたいの、要約するとどうなの、A4一枚にまとめろ、ポイントは何なの、といったこととは対極にある内容だ。書きたいことを書けばつまらないことも多くなる。だからといって、ダメなわけではなく、それでも人の心をつかむ文章もある。
効率主義でゴリゴリ押していくだけでは、コピーとして成り立たない。それでも人にうったえることは必要。書きたいことを書かないで書くといったコピー業界の秘伝を盛り込んだような参考になる本。