フィッシャーの半生とスパスキーとのチェス世界王者決定戦を描いた作品。
主人公のボビー・フィッシャーを演じるトビー・マグワイアがいい。破天荒な天才であったフィッシャーの人生を、過剰なまでの自信とその裏返しである不安の表情を見事に演じ分けている。
レイキャビックで行われた世界戦はフィッシャーの言動で混乱する。トラブルメーカーとしてのフィッシャーは、トランプ大統領を上回るくらいにめちゃくちゃだ。ルールや対局場、報酬などにクレームをつけ、周りの人間を振り回す。試合会場に現れずに不戦敗となり、試合放棄寸前までいく。世界の注目の的になっていたため、ホワイトハウスまで説得に乗り出す事態になる。それでも第6局の名局をものにしたフィッシャーは、世界チャンピオンになる。
天才の光と影を体現したようなフィッシャーのチェス人生。興味深い。