映画「9人の翻訳家 囚われたベストセラー」(2019)の感想。

2019年公開のフランス、ベルギー合作映画。ダン・ブラウン原作の小説「インフェルノ」出版の際の実話がもとになっている。

世界的ベストセラー作家の最新作が発表されることになった。世界同時発売のため、やり手の出版社社長により各国語の翻訳者たちが集められ、軟禁状態で翻訳作業を強制される。その途中で原稿がネットに流出し、それをネタに身代金の要求が社長のもとに届く。果たして誰の仕業なのか。翻訳家たちのなかに真犯人がいるのか。社長により翻訳家たちへの執拗な取り調べが行われる。

隔絶された空間での事件発生は、「そして誰もいなくなった」のような設定ではあるが、殺人が主になっているわけでなく、現代的なネットを使った脅迫事件。疑心暗鬼の状態が作り出され、人物造形の良さも相まって、なかなかみせる展開が繰り広げられる。

悪徳社長と翻訳家たちの対立の構図もいい。それぞれが抱える問題が、事件解決の鍵になるのかと思わせるハラハラ感もうまくハマっている。時系列が入り乱れるので、尚更サスペンス感を醸し出す。

最後のどんでん返しもなかなかのもの。こういう終わり方は好きだ。

現代的なスピード感あるミステリー。期待以上に面白かった。