映画「清洲会議」(2013)三谷幸喜監督作品。歴史ファンにとっては傑作映画。

年越しは楽しい映画でと思い、選んだのは「清洲会議」。三谷幸喜原作、監督で、本能寺の変直後の清洲会議を題材にしたコメディ作品。

冒頭であっという間に本能寺の変から中国大返し、山崎の合戦が終わる。そして清洲城で織田家の重臣たちのよる会議が始まる。名古屋弁の藤吉郎が颯爽と登場し、権謀術数を弄して主導権を握る。

見どころはモディファイされたキーマンたちの人物像。登場するのは笑っちゃうような人物ばかり。

木下藤吉郎:さすがに天下一の仕事人。これなら天下をとっても何の不思議もない。
お市:絶世の美女のはずなのに、ここでは尊大で高慢なヒステリー姫。
柴田勝家:忠臣でありながらトンチンカンな実直さ。
丹羽長秀:歴史上では影が薄いのに、やはり重臣中の重臣の存在感。
池田恒興:藤吉郎を見下している割には、能力が追いつかない風見鶏。
織田信雄、信孝、信包:この3人の間抜けぶりでは、とても藤吉郎の相手ではない。

清洲会議についての知識が少しあって、予め登場人物のイメージを持っていれば、非常に楽しめると思う。そうでないと、ただのドタバタ映画になっってしまうかもしれない。

コメディ映画ではあるが、今さらながら秀吉の才覚には舌を巻く。秀吉の死後、抜きんでた実力者であった家康でも、豊臣家から天下を奪い取るに20年近くかかった。本能寺の変の後の秀吉は、織田家や重臣たちに囲まれたこの状況から、8年で天下人になってしまっている。

歴史ファンにとっては傑作映画。このノリで関ヶ原と大坂の陣をつくって欲しいものだ。どんな家康、三成、淀君ができるのか想像するだけで楽しい。