映画「狼たちの午後」(1975)の感想。アル・パチーノ主演。

1975年製作のアメリカ映画。アル・パチーノ主演、シドニー・ルメット監督。

行き当たりばったりの銀行強盗の主犯をアル・パチーノが演じる。銀行に押し入るとすぐに若い相棒が怖じ気づいて脱落。金庫を開けると中には札束がほとんどない。いつの間にか銀行は警察に包囲され、苦し紛れに海外逃亡を謀ろうとする。相棒に行き先の国を訊くと、ワイオミングという答え。進退窮まったところでは自分の生命保険の行き先まで遺言で残そうとする。どれをとってもお笑いレベルの行動だ。

すべてにわたって杜撰な計画。そこがこの映画の特徴だ。苦しい生活に追われる毎日。何とかそこから逃れようとする気持ちとエネルギーはある。無計画のまま行動に移そうとするが、当然のごとく失敗する。持て余したエネルギーを発散させて無軌道な行動に走り、そこのスポットライトが当たる70年代の世相がよく表現されている。

アル・パチーノにとっては、ゴッドファーザー後の作品になる。マフィアのボスを演じたときとは正反対の演技。焦点が定まらないうつろな視線での軽薄な行動は、地でいっているのではないかと思えるくらいにハマっている。