映画「ナイル殺人事件」(2022)の感想。ケネス・ブラナー主演、監督。

「オリエント急行殺人事件」に続くケネス・ブラナーが演じるポアロの第二弾。

前作同様に派手なハリウッド風の作品になっている。セットが豪華で映像もきれい。豪華客船のきらびやかな装飾は異国情緒タップリ。ピラミッドやナイル川に沿ったエジプトの美しい風景がふんだんに見ることができる。まさに映像の旅に出かけているような気分になる。

そして登場人物たちも個性あふれるキャラばかり。誰もが問題を抱え、うちに秘める謎めいた心情が浮かんでいるような演技で引きつけられる。

ポアロは今回も独特のキャラになっている。過去のつらい思い出も少し顔を出し、心の傷を持つ老人として描かれ、一般的なイメージであるユーモラスな言動はほとんどない。なにより調査の進め方がとにかく挑発的なのが目立つ。片っ端から、犯人であるかのような想定のもとに質問を投げかけ、相手の怒りを買う。観る側にとっては、そうやって複雑になりがちな人物関係を整理してくれるという効果もあるのだが。

すでに何回か映像化されストーリーは承知していたが、楽しむことができた。やはり原作のよさがミステリーものには不可欠だと思う。