映画「コンフィデンスマンJP プリンセス編」の感想。マネーガンでお札をばらまいて欲しかった。

コンフィデンスマンJPの映画第2弾。前回の「ロマンス編」が出来がよかったので、期待しながら観てきた。

シンガポールの世界第3位の大富豪が死去し、その莫大な遺産を誰が継ぐかを巡ってのコンゲーム。マレーシアのランカウイ島に詐欺師たちが集結。10兆円とも言われる遺産をめぐって、一族と詐欺師たちのだまし合いが繰り広げられる。

前作でシリーズものとしての禁じ手に近い構成を使ってしまっている。今回は、それを上回るようなプロットになるかどうかが興味の焦点。どこに伏線が張られているのか、誰がだましの演技をしているのかと、推理ゲームのような見方で、疑いの目でストーリーを追った。

舞台は豪華だし、出演者たちもすばらしい。そこに怪しげな行動をとる人物が次々に登場するので、注意して見るのは結構疲れた。

連ドラでは、おサカナの心理的な部分に踏み込んで幕引きをはかるというパターンが多かったが、今回はそれを映画に持ち込んだストーリー。その反面、コンゲームとしての色が薄くなってしまった。ネタはうまく仕込んであって、最後の回収もまあ鮮やかだったが、切れは少し鈍った感じがした。

だましの基本的なプロットはかなりよくできている。ダー子たち詐欺と大富豪と執事の思惑がからみ合っている二重の構成。執事の手のひらでころがされるダー子たちという部分を取り入れたところが非常にうまい。

ただ、問題なのは種明かしの手法。フラッシュバックで回想するだけでは、うまく説明できていない。更に、シンデレラ誕生のストーリーの影に隠れて、鮮やかさに欠けるクライマックスになってしまった。

プリンセス誕生をメインにするより、「10兆円いただき、と思ったら・・・・・・」というオチにして、もう少し説明を加えた方がよかった。複雑な構成が災いして、爽快感がなくなってしまった感じがする。

全体的には豪華な雰囲気を楽しめてよい出来だと思うが、やはり「ロマンス編」と比べると完成度はいまいちかな。もうひとひねりをして、スッキリしたどんでん返しで終わったらよかったと思う。

フィナーレは、いつものように「ノーダウト」を流してマネーガンでお札をまき散らすシーンが欲しかった。詐欺師は詐欺師であってこそのコンゲームだからね。