映画「濹東綺譚」(1960)の感想。女優山本富士子の魅力の作品。

永井荷風原作で1960年製作。

昭和9年、隅田川沿いの私娼街玉の井でのお話。中学教師種田の芥川比呂志がたまたま山本富士子のお雪と知り合う。訳ありで一緒になった妻との関係がうまくいかない一方で、お雪の明るさと気立てのよさに惹かれていく。

お雪と種田が部屋の中で交わす会話のほっとするような雰囲気。エロチックな場面はない。この作品はストーリーがどうのこうのというよりも、山本富士子を見るための映画。まさに大女優の魅力が満載といった場面が続く。薄幸な女性がつらい境遇の中で、明るく健気に生きる様子を見事に演じている。