映画「鳥」(1963)の感想。鳥が人を襲うヒッチコック監督の動物パニック映画。

ヒッチコック監督の動物パニック映画。

新聞社社長の令嬢であるメラニーは、ペットショップで弁護士と知り合いになる。後日、彼の自宅をプレゼントのラブバードを持って訪ねる。彼女の滞在中に鳥たちが人を襲いはじめ、街全体がパニックに陥る。

鳥の襲撃が始まるのは中盤過ぎから。それまでは令嬢と弁護士家族、そして近所の女性教師とのあいだで、何か人間劇が展開されるのではと思わせるストーリーになっている。

中盤以降は、ひたすら鳥の恐怖が画面に描かれる。鳥は人を襲撃するだけだが、襲われるのではないかという人間側の恐怖心が家族の姿で表現される。鳥を使った心理サスペンス劇とも言えると思う。

気むずかしい母親と息子の弁護士の関係には「サイコ」を思い出すし、ティッピ・ヘドレン演じる令嬢の雰囲気には「マーニー」を思い出してしまう。それ以上の進展はないのだが、サスペンス感を盛り上げる舞台装置として有効に働いている。

古典的動物パニック映画であり、心理サスペンス劇としてもよい作品だと思う。