横溝正史原作、篠田正浩監督。鹿賀丈史が金田一耕助を演じる。レット・イット・ビーが主題歌に使われている。
角川の金田一耕助シリーズはほとんど観ているが、この作品だけ残っていた。テレビでほとんど放映されないので、あまり出来がよくないのかなと思っていたが、予想外に面白かった。
双子が出てくる時点で、ミステリーとしての展開はある程度わかってしまうが、かなりつくりこんだ筋立てだ。岩下志麻は存在感抜群で、さすがに画面映えする。佐分利信、伊丹十三のアクの濃さも健在。市川崑作品で加藤武が演じる警部役は室田日出男で、これがなかなかいい。そのほかにも、古尾谷雅人、石橋蓮司、根岸季衣、岸本加世子など、脇役陣を観ているだけでも楽しい。
金田一耕助といえば石坂浩二と古谷一行を思い浮かべるが、鹿賀丈史もいい味をだしている。とぼけた表情と飄々とした演技はまさにあの金田一耕助。
役者陣の奮闘できりりとしまった横溝作品になっている。おすすめ。