大河ドラマ「樅の木は残った」総集編の感想。

1970年放送の大河ドラマ「樅の木は残った」の総集編を観た。山本周五郎原作、平幹二朗主演。

江戸時代の初期、仙台藩で起こった所謂伊達騒動についての物語。当時の幕府は、外様大名を次々に取りつぶし、徳川政権の安定を図ろうとしていた。東北の大藩である伊達家にもその矛先が向かいつつあった。危機感を覚えた宿老原田甲斐が、自身を犠牲にして仙台藩を守り抜こうとする。

革命期のヒーローが人気になる歴代大河ドラマの中で、血湧き肉躍る時代劇の対極にあるようなストーリーだ。これだけ忍従を強いられる物語は観ていても苦しい。昭和元禄の到達点での放送であり、放送時の視聴者は中間管理職の悲哀を重ね合わせてしまったのではないか。これが幕末期ならば、一丁倒幕してやるかとなるところだが、そんな雰囲気は露ほども感じられない重苦しさだ。

相手は幕府の最高実力者酒井雅楽頭。どう考えても勝ち目がない状況で、自爆覚悟の計画を実行する。原田甲斐の武士としての悲哀を中心描いているが、謀略ものとしても重厚な物語が出来上がったのではないかな。それくらい大人向きの大河ドラマだ。