イスラエルといえば、パレスチナ問題や中東のテロといったニュースを真っ先に思い浮かべるが、実はIT産業の集積地としても世界の注目を集めている。IT国家としてのイスラエルとそこに目をつける世界各国の動きについての本。
中東のシリコンバレーと呼ばれるくらい、イスラエルは世界の投資を引き込んでいる。自動運転、IoT、サイバーセキュリティなどの高い技術を持っているからだ。
ベンチャー企業が続々と生まれる土壌は、背景には長い間世界で迫害されてきたユダヤ人の生きる知恵、更に軍事諜報技術との関連で優秀な人材を供給できるシステムがある。
欧米をはじめとする各国はそこに目をつける。とくにドイツは、過去のイスラエルとの負の関係を十分な謝罪と補償をすることで、緊密なな関係を築きつつある。
中国ももちろん見逃してはいない。過去にはパレスチナよりだった立場を修正し、多額の投資を行っている。
日本も関係強化をすすめているというニュースを聞くが、まだまだドイツ、中国に比べれば後手をふんでいる。
著者はドイツ在住のジャーナリスト。当然ながらドイツに関する部分が詳しい。イスラエルそのものの実情だけでなく、ドイツから見たイスラエルという観点から興味深い本だ。