鈴置高史著「韓国消滅」の感想。

尹政権の発足以後、日本のマスコミでの韓国批判は減ったし、それにともなって韓国の問題点を指摘する報道も減った。この本はかなり手厳しい論調ではあるが、今の韓国が抱える問題がコンパクトにまとめられている。

外交で方向が定まらないのは、いわゆる事大主義の伝統があり、大国の中での生き残り戦術を模索し続けるので仕方ないかもしれない。他国からすれば節操のない外交をしているように見えるわけだが、それに慣れる必要があるだろう。東西冷戦時代の区分けは一時的なものであり、本来弱者の戦略を実行する国であることが一般にもわかってきていると思う。

民主主義については、韓国自体が政局に走る国であり、日本から見ると何でもありの体制に見えてしまう。裁判所まで政争に巻き込むのがふつうという状況は、やはり理解し難い。これも韓国特有の状況として、民主主義であっても手段を選ばない政治闘争を徹底的にやる風土であることを理解する必要があると思う。

日韓関係は、尹政権以後改善されているが、進歩派が政権をとれば反転すると予想できる。これからも政権交代ごとに親日反日を繰り返していくだろうが、それに応じて日本の外交政策が影響されるだろうし、日本はそれに徐々に慣れていくだろう。

第1章で取り上げられている出生率の低下が一番の問題だ。これをどうにかしなければお先真っ暗の状態。過酷な競争社会であるため、子供を持つにはかなりの覚悟が要ることが大きな要因のひとつだろう。国力低下の坂道を転がっていっているのに、根本的な対策が打てないところは日本と同じだが、韓国は日本の一歩先を行く状況なのでより深刻だ。