日高義樹著「アメリカに敗れ去る中国」書評感想

今、話題になっている米中経済戦争。アメリカから見た本質について詳しく書かれている。

貿易戦争は、赤字の削減を目的とするような単純なものではない。中国の不正経済による莫大資金が軍事力強化に使われるのを阻止するためのもの。

米中冷戦は幻想。軍事的には中国はアメリカの敵ではなく、台湾海峡すら越えられない。南シナ海の軍事基地建設には、具体的な戦略はなく、周辺国の連携を招いてしまっている。

トランプ大統領の評価は非常に高い。中国の脅威に対して手をこまねいていたオバマ、ブッシュ、クリントンがやらなかったことを次々に行っているから。

経済戦争の敗北により、中国の不正経済バブルは終わろうとしている。アメリカとの貿易戦争を始めたこと自体が失敗。アメリカはヨーロッパにも手を打っており、北京政府は混乱するだけ。

習近平の立場は苦しい。経済成長により支えられていた一帯一路はうまくいかなくなる。国内の不満も多く中国分裂にもつながるかもしれない。

トランプ大統領の評価は非常に高い。中国の脅威に対して手をこまねいていたオバマ、ブッシュ、クリントンがやらなかったことを次々に行っているから。

中国に甘い日本の外交政策に、アメリカの不満が高まっている。きびしい方針でのぞむべきなど。

 

一般のメディアの中国脅威論とは異なり、アメリカ寄りの視点から論じる米中経済戦争。国力の差はいかんともしがたく、中国はアメリカにとって敵とはなり得ないという。アメリカという大国を知る著者ならではの視点。とくに軍事面での詳細な記述は興味深い。

中国脅威論一辺倒のマスメディアの論調もどうかなと思うし、経済戦争の敗北によって中国が分裂にいたるかどうかは別にしても、アメリカ側から見ることも必要だと思わせる一冊。