藤沢秀行著「勝負と芸」書評感想

1990年発行。藤沢秀行が自らの囲碁人生を綴ったもの。

藤沢秀行というと、破天荒な人生を送った棋士という印象があるが、あまり突飛なところは触れられていない。生まれから修業時代、青年棋士としての活躍、そしてトップを争う時代の激闘など、興味深い話が聞ける。

青年時代に中国に囲碁指導のために渡ったこと、曺薫鉉の才能を高く評価していたことなど。坂田栄男本因坊のことは、年齢差、実績差があったのでライバルとは思っていなかったという話もある。

この時代は、ようやく李昌鎬の名前が出始めた頃。日本の囲碁界はまだまだ世界一であったが、既に中韓の台頭を予想している。