裏表紙に書かれていた”「考えずに」書く”という必殺の文句につられて読んでみた。
川上哲治のボールが止まって見える、円山応挙の描かずに描く、といった名文句に匹敵するようでかなり挑発的。悟りを開いた人の奥の深い話のようにみえる。
確かに同じようなことは話す場合にも言える。即興でプレゼンをするときなどは、頭の中にはいろんなことが入っているのに、口から言葉が出てこないことがある。予め原稿を準備していないので仕方ないと思えるが、普段の会話では準備などなしに思いついたことをつなげても相手とのやりとりが成立している。
書くときも同じ。いざペンを持って書き始めても、なかなか筆が進まないことがある。とくに、どういう構成で書こうとか、起承転結をどうしようとか、完璧なものを書こうと思えば思うほどこういった状況に陥ってしまう。
読み終わってみると、やさしく書いてあるが、書くことの本質に触れている本だと思う。おすすめ。