
昭和54年初版発行。連合赤軍事件を扱ったドキュメンタリー小説。昭和47年9月から昭和48年4月までの雑誌連載で発表された作品。
昭和の時代に世間を騒がせた連合赤軍連続リンチ殺人事件。その後、浅間山荘の立てこもり事件により、連日のテレビ中継で注目を浴びた。後のオウム事件にも匹敵するような社会的波紋を呼んだが、仲間内での殺し合いにまで発展したという点では、より怖ろしい凶行だったと言える。本書では、群馬県の山中で総括という名のもとに行われたリンチ殺害事件が克明に描かれる。
何をするにも理論的な裏づけは必要なのかもしれない。しかし、それが行き過ぎるとどうなるのかが示されたような本だ。屁理屈でも理論化できれば行動に移すことができることの危うさが、狂気をもって描かれている。
事件発生からそれほど月日が経っていない時点で、これほどリアルにドラマ化してしまった著者の筆力は驚くばかりだ。凶行を理屈で押し通す主犯たちの理論闘争が見事に描かれていて、狂った集団の怖さを実感できる。

