NHK大河ドラマ「国盗り物語総集編」の感想。

1973年のNHK大河ドラマ。司馬遼太郎原作。前半は斎藤道三、後半は織田信長が主人公になる。

全体的には、原作の通りに天下取りを目指す英雄伝といった体裁だ。浪人から身を起こした斎藤道三の意思を織田信長が引き継いで天下人に駆け上がる。美濃一国を手中にした道三の成り上がりは疾走感があるし、信長は更にスピードを上げて天下に王手をかける。テンポのよさがそのまま映像に反映されている。

平幹二朗の道三は、さわやかな策士といった印象だ。マムシと呼ばれたあくの濃さまでは表現されていない。相当にあくどいことをしたであろうが、それを封印しているところが司馬遼太郎作品らしい。三國連太郎のような俳優が演じれば、別の道三を見られたかもしれない。

高橋英樹は、演技そのものが信長にぴったりだ。歌舞伎役者のような派手さもあって、画面の中での存在感は抜群だ。屈折した心理を演じる近藤正臣の石田三成もいい。本能寺の主導者としても違和感なく印象が残る。

戦乱の世の英雄にピタリと焦点を合わせた作品。見応え十分で面白い。