1954年制作のフランス・イタリア合作映画。ジャン・ギャバン主演。
初老のギャングのマックスは、強奪した金塊を隠し持っていた。それを元に悠々自適の生活を送ろうとしていたが、相棒がその事実を妻に話したため、ライバルギャングに狙われてしまうことになる。
ジャン・ギャバンが最初から最後までほぼ出ずっぱり。貫禄に圧倒されるとともに、渋い演技だけで映画が1本作れてしまうのに感心してしまう。女性に平手打ちをするシーンが何カ所かあるが、今見ても納得してしまうくらいの不思議な魅力がある。
前半は、状況設定を徐々に明かしていく構成。たまり場のレストランで仲間とたむろする温厚な紳士に見えるマックスが、実は金塊強盗の犯人であることが明かされていく。謎解きではないが、徐々に種明かしをするような感じで、なかなか魅せる導入部だ。
後半は一本調子でライバルとの対決だけのシーン。ストーリーとしては単純過ぎて見どころがないように思えるが、それだけにジャン・ギャバンの落ち着いた渋い演技が余計に目立つ。
本作がデビュー作となるリノ・バンチュラもライバル役としていい演技を魅せている。だが、それと比べてもジャン・ギャバンの余韻を残す演技には圧倒される。