小松左京原作のSFスペクタクル。渡瀬恒彦、名取裕子出演。
首都東京が謎の雲に覆い包まれ、外との交信が一切途絶えてしまう。首都機能を喪失した日本は臨時政府を設立し難局の打開を図るが、米ソ軍事的な不穏な動きも目立つようになる。技術者たちはなんとか雲の中の状況を探ろうとするが…….
期待して見たのだが、残念ながら日本沈没と比べるとかなりリアル感が落ちる。謎の雲の出現という設定はいいと思うが、その科学的な根拠についての説明が不十分。科学用語や測定装置をふんだんに使っていても、漫画チックな怪獣映画の域を出ない。臨時政府の立ち上げという流れも釈然としないし、国際協力を得られずアメリカが敵対的な行動を示すというのもどうかな。雲の内部の様子が一切出てこないというのもドラマ的は寂しい。
最後は、竹槍突撃がごとき無謀な民間人の行動により、奇跡的に雲が消失してしまうというオチ。SF作品の映像化は難しいという点もあると思う。やはり日本沈没は名作だった。