映画「お早う」(1959)の感想。小津安二郎監督作品。昭和の庶民の生活。

郊外の新興住宅地を舞台にした小津安二郎監督の人情コメディ。

昭和30年代の住宅地での庶民の生活を淡々と描いている。大きな事件は起こらない。それでも、日々の生活には小さな波風が立つ。婦人会の会費が行方不明になったり、子供がすねて話をしなくなったり、定年後の生活を心配したりと。

ちょうどテレビが普及し始め、主婦が普段着でも着物を着ていたころ。家庭にテレビが来るのは大事件だ。子供達はもちろん大喜び。

近所づきあいや家庭内の問題がユーモラスに描かれ、微笑ましい日常を垣間見るようだ。今見ると、団地の型にはまったような生活のように感じるが、ようやく食べる心配がなくなって、日々を楽しめる生活水準になった頃のはなし。のどかな雰囲気満載だ。

庶民のほのぼのとした生活を覗き見るだけで、こちらも幸せな気分になれる。