映画「お茶漬けの味」(1952)小津安二郎監督の感想。

小津安二郎監督による古きよき時代の夫婦の日常を描いた作品。

「秋刀魚の味」のように、ほのぼのとした生活だけではなく、夫婦間のちょっとした緊張感が描かれる。

田舎育ちでのほほんとした夫の佐分利信とお嬢様育ちの妻木暮実千代。倦怠期に入りすれ違いが生まれてくる。茫洋な性格の夫と有閑マダム的な妻との元々の性格の差が、徐々に大きくなってしまう。

互いに微妙な不一致を感じているが、それをとげとげしさにあらわす妻とあきらめムードの夫の考えが、適齢期の姪のお見合い問題を通して表現される。夫のウルグアイ転勤というきっかけで、劇的にわかりあえるようになる。二人でお茶漬けを食べてハッピーエンド。

昭和20年代の世相を背景にしてあり、野球、パチンコ、競輪、ラーメンなどの映像を見ることができ興味深い。