映画「サムライ」(1967)の感想。アラン・ドロン主演。

アラン・ドロンが一匹狼の殺し屋を演じる。

ストーリーは単純だ。仕事を依頼された殺し屋が、図らずも現場で目撃されてしまい、警察の追求を受けることになる。依頼主は自分たちに手が及ぶのを恐れ、殺し屋の命を狙う。

とにかくアラン・ドロンの殺し屋が渋い。淡々と殺しを実行し、サッと姿をくらます。表情一つ変えることはない。美しいサムライの美学が表現されているかのようだ。

全体的にセリフが少なめだが、とくに冒頭部はセリフなしの映像だけ。それでも殺伐とした雰囲気が伝わってくる。モノトーンのような映像の青さが、殺し屋の孤独感を際立たせている。殺しの背景の説明など一切ないし、殺し屋の素性も描かれない。しかし、観客は、映像からどんな人物なのかを感じとることができる。

アラン・ドロンが演じるサムライの美学が凝縮されたような映画だ。濃いし寒い。