映画「いぬ」(1963)の感想。ジャン・ポール・ベルモンド主演。

ジャン・ポール・ベルモンド主演のフランス犯罪映画。

悪党たちの交流と裏切りの物語。裏社会のシビアな冷酷さはそれほど感じない。一匹狼たちの研ぎ澄ました嗅覚のストーリーと言えるかな。登場人物は少ないのに、人間関係が複雑で筋を追うのにかなり骨が折れる。

警察で捜査員達による聴取の長回しは、凝った駆け引きになっていて、一番の見どころだ。同時に謎解きのヒントにもなっているので、ぐいぐい引き込まれてしまう。うまい展開だ。

終盤、ベルモンドの語りによって、それぞれの行動の意味が明かされるシーンには、ちょっとあっけにとられた。少し雄弁すぎる演出だったかな。さりげない謎解きの方が、ストーリーは締まったのではないか。

人懐っこくスタイリッシュなベルモンドの雰囲気が、遺憾なく活かされた謎解き犯罪映画。秀作だと思う。