韓国映画「工作 黒金星と呼ばれた男」(2018)の感想。傑作スパイ映画。

2018年公開の韓国映画。実話をもとにしたスパイ映画。

ビジネスマンに扮したKCIA工作員が、核開発情報を入手しようと北朝鮮に侵入する話。先ず、スパイ映画としてよく出来ている。接触を図る際のスリリングな緊張感、北の中枢部の凍りつくような寒々しさ。そして危機一髪の瞬間の描写。どれをとっても1級品で、画面の迫力に押されてしまう。金正日との対面シーンは本当に平壌でロケしたのではと思うくらいにリアルだ。

それだけではなく、駒として生きる工作員の悲哀も同時に描かれる。北での工作が上手くまわり始めたとき、上層部の保身のために思わぬ指令を受ける。金大中大統領誕生阻止を目論む保守派と情報部の政治的思惑による理不尽な介入だ。南北関係は対立だけでなく、互いの利益のためにツーカーの仲でもあるという汚い現実を目にすることになる。純粋に祖国愛や統一という悲願を持つ個人には、どうしようもないほどの国家権力が立ちふさがる。

金正日は本人と思えるくらいのそっくりさんだった。

韓国映画のレベルの高さを感じさせる秀作。JSAもよかったが、この作品も見応えある。