2017年制作の韓国映画。韓国検察の腐敗を背景にして、コミカル調を取り入れたクライムエンタテインメント。
貧しい青年パク・テスは、一念発起してソウル大に入り検事となる。地方での勤務中に、検察の中枢に君臨する実力者ガンシクの知己を得る。彼の片腕となって出世をしていくテスだが、同時に検察の腐敗を目の当たりにする。やがて用済みとして切り捨てられたテスは、ガンシクへの復讐を企てる。
構成としては、序盤は軽妙なタッチのコミカル調、中盤はかなり長くシリアスストーリー、終盤も短いがコミカル調に戻るという三部構成である。まるで分割して作られたようにトーンがはっきりと分かれているが、そのつなぎが必ずしも滑らかではない。序盤のコミカルさが早々となくなって肩透かしをくうし、長い中盤をどうやってまとめるのかと思っていると、終盤はコミカル調に戻ってあっさりと復讐劇が片づけられてしまう。それぞれのパートがよくできているだけに残念だ。
検察腐敗を歴代の政権と絡めていて、とくに中盤は切り取られた韓国の現代史を見るようで、重みのある物語だ。検察の横暴は韓国でことあるごとに問題となっており、ユン・ソンヨル前大統領も検察出身であることを考えると、作品の社会的背景はより鮮明になる。
韓国社会を知るうえでも、エンタテインメントとして観るうえでも、両方楽しめてしまう作品だ。