五味洋治著「英語と中国語 10年後の勝者は」の書評感想。

言語から見た米中の覇権争いのレポート。中国語、英語、そして日本語についての記述もある。

国際語としては英語一極支配で間違いないが、そこに中国語が割っては入いれるのか。米中の争いはあらゆる分野でも繰り広げられているが、言葉については英語の地位は微動だにしないように見える。何より中国でも英語学習熱は高まるばかりだ。

しかし、中国語も侮れない存在になりつつあるのは確かだ。アメリカの著名人が自分の子供に中国語を学ばせているのが、何よりの証拠になると思う。

一方の日本語は、もともち欧米人には学習しにくいし、アニメやマンガなどのサブカルから学習に入る人が多いのが実情。覇権云々という話にはそぐわないくらいに、世界的にはマイナーな言語にとどまっている。

事例は豊富なのだが、中国語が世界標準語として確固たる地位を築くかどうかについては、もう少し突っ込んで欲しかった。孔子学院を使って国際化に邁進している一方で、それに危機感を覚える国も増えている。そして触れられてはいないが、漢字という学習上のネックになる文字の存在もある。

経済や軍事の分野と違って、英語の存在は安泰だと思うが、それでも中国語の重要度が高まっているのは確かで、その現状を知ることができる本。