尾河直哉翻訳「名作短編で学ぶフランス語」はフランス語の対訳書。
フランス語の勉強のためにと読みすすめていた。和訳や解説は充実しているのだが、自分にとってはかなり難しい。作品がどうのこうのというよりも、解釈に精一杯という感じ。
収録されている短編のひとつの「タナトス・パレス・ホテル」は、作品としてなかなか面白い。ミステリータッチでぞくぞくするような構成で、ロアルド・ダールの「予期せぬ出来事」を彷彿させるようなちょっと恐いストーリー。
株の暴落ですべてを失った主人公。自ら命を絶つことを考える彼は、あるホテルへと向かう。そこは一見するとふつのホテルのようだが、彼と同じ考えを持っている人たちが集まっていた。
こういった面白い作品に出会うと、どうなるか知りたくて和訳を先に読んでしまうことになる。それでは語学の勉強にはならないのだが、それくらい魅力のある作品。