2020年ドイツ制作のドキュメンタリー。19世紀後半に開通したオリエント急行の歴史。
ベルギー人実業家ジュルジュ・ナゲルマケールスは、20代から鉄道事業にのりだし、パリからコンスタンティノープルまでの豪華旅行列車の開通を目指す。複雑なヨーロッパ情勢、国ごとの鉄道規格の違い、個別の契約交渉など、様々な障害を乗り越え、1883年についにオリエント急行を走らせる。その後も、苦難に見舞われながらも、最高の旅行空間を提供するオリエント急行は走り続けた。
当時のヨーロッパの国際情勢を考えれば、このような豪華列車を国をまたいで走らせるには奇跡的な交渉手腕が必要だったろう。泥棒が乗り込んできたり、鉄道マニアのルーマニア国王が乗り込んで機関車の運転をしていたなど、取り上げるエピソードも破格。
そして、ただ走るだけでなく、最高の装飾品、快適な寝台車、食堂車設置、一流の料理を提供など、革命的だとも言えるくらい豪華な客車としたことも驚き。開通から140年たった今でも、その豪華さを取り上げるだけで、番組1本できてしまうのだから。あの時代に豪華さと旅の楽しみを両立させ、今でも通用するコンセプトを成し遂げてしまった。
鉄道ファンでなくても楽しめて、歴史的にも興味深いドキュメンタリー。
NHKBS1
BS世界のドキュメンタリー
「オリエント急行 ―夢の豪華列車を走らせた男―」
2020年10月15日 00:00-00:44