韓国映画「MASTER/マスター」(2016)の感想。イ・ビョンホン主演。

イ・ビョンホンが悪役。マルチ商法で庶民の金を吸い上げ、それをもとに政官界にネットワークを張り巡らす悪徳グループの総帥を演じる。

前半と後半の二部構成。前半は総帥逮捕に執念を燃やす犯罪捜査官との対決。危機一髪で逮捕はまぬがれてマニラに逃亡。後半はマニラに舞台を移し、現地議員を取り込もうとする詐欺事件。

クライムサスペンスとしてはなかなか面白い。二部構成にしたことでクライマックスが二つあり、間のびせずに最後まで観ることができる。側近のハッカーが、総帥と捜査官とのあいだを行き来する関係で、それがストーリーに幅を持たせている。そのほかに、総帥の女性秘書、ハッカーのオタク仲間、影の実力者の老婆などが登場し、それぞれがキーとなる動きをする。だが、ストーリーを盛り上げるだけの絡みにはなっていない。そこが残念なところ。後半の騙しのプロットはかなり面白いと思うが、さらっと触れただけで終わっている。

面白い映画だと思うが、イ・ビョンホンの悪党度はイマイチかな。やはり心理描写が得意な俳優だと思う。