韓国映画「王の運命 -歴史を変えた八日間-」(2015)の感想。米びつ事件。ソン・ガンホ主演。

2015年公開の韓国映画。主演はソン・ガンホ。

朝鮮第21代国王の息子で悲劇の世子として有名な思悼の物語。朝鮮王朝のことなので、当然政治闘争の背景があったと思われるが、ここでは政争よりも父子の関係が主軸となって描かれている。

世子がクーデターを起こし、王はどうしようもない状況に追い込まれるところから始まる。その前段となる父の息子に対する過度の期待により、それにこたえられず苦しむ世子の物語が前半になる。代がわりの難しさについては現代でも同じだと思うが、これが一国の主の座となれば、こじれたときの悲惨さは尚更ひどいくなる。ちょっとしたすれ違いから親の落胆と不安が生まれ、あれよあれよというまに袋小路に追い込まれていく。

思悼が米びつに閉じ込められてからの後半がとくによい。時間の経過がゆっくりになり、弱っていく世子の姿に苦悩する国王のがオーバーラップしていく。親としての子への愛情と施政者としての厳しさの板挟みになる王。ソン・ガンホの演技がすばらしい。

ソン・ガンホは庶民的な役が多いが、こういう高貴な役柄もいい。豪華な宮中の雰囲気の中で見えかくれするオッサン臭から、親としてのせつない気持ちがあぶり出される。

韓国ドラマ的に言うと、王の英祖はトンイの息子、孫のサンはイ・サンになる。前王であり英祖の兄景宗はチャン・ヒビンの息子になる。

かなりよくできた時代劇。おすすめ。