韓国映画「ナンバー・スリー No.3」(1997)の感想。

1997年公開の韓国映画。ハン・ソッキュ、チェ・ミンシク、ソン・ガンホ出演。

「シュリ」の公開が1999年だからその2年前の作品になる。今でこそ韓国映画は隆盛を極めているが、「シュリ」や「冬のソナタ」の頃は珍しさもあって際物扱いのような感じだった。韓国の一人当たりのGDPは日本なみになり、サムスン、ヒュンダイは世界的企業になるとともに、韓国エンタメは日本の遙か先に行ってしまっている。

韓国映画の黎明期の作品であり、一昔前の韓国に対するイメージが詰まっている。雑然としたセットと映像。とっちらかり状態のストーリー。つくりこんだと言うにはほど遠いB級感が満載だ。

ただ、粗削りながら構成としての着眼点のよさは感じられる。主人公は暴力団のナンバー・スリーの位置を占めライバルと競う立場にいる。多少関係がギクシャクしている妻は変な詩人になびきそうになっている。近所には暴力団を目の敵にする検事が住んでいて何かとちょっかいを出してくる。カルト的な殺し屋にも狙われている。これら個性的なキャラたちが次々に登場し、ドタバタ騒ぎを起こす様子がコメディタッチでテンポがよく描かれている。

確か、チェトリ(灰皿)を凶器に使ったライバル組員が韓国で話題になっていたと思う。

既に名優となっている3人の若い頃を見ることができるのもいい。とくにソン・ガンホが若いね。

20世紀末の韓国を感じられる映画。質は今の作品に遠く及ばないが、見る価値があると思う。