映画「シリアナ」(2005)の感想。石油利権を競うパワーゲーム。

アラブの産油国の利権をめぐって、世界的な規模での争奪戦とその裏に潜む陰謀のストーリー。ジョージ・クルーニー主演。

とにかくスケールが大きい。中東の架空の産油国を舞台に、アラブの王族、CIA、巨大石油会社、司法当局、一流法律事務所が絡み合う石油の争奪戦。まさに国際情勢の裏で繰り広げられる欲望の物語だ。

こういう壮大な設定の映画だと、中盤くらいまでは息を呑む展開だが、その後失速というパターンが多い。しかしこの作品では、最後まで目を離せない緊迫感が続く。

ストーリーはかなり難解。説明のないままに新たな人物が次々に登場するめまぐるしい展開だ。主要キャストのジョージ・クルーニー、マット・デイモン、ジェフリー・ライトの3人が、組織の思惑に翻弄されながらもそれぞれの持ち分でしぶとく動き回る。それに伴って、どの人物がどういう立場にいるのかが徐々に明らかになっていく。手の内をなかなか明かさない脚本がこの映画のよさだ。流れについていくのが大変ではあるが、最後まで緊張感が持続させる仕掛けとして見事だ。

国際情勢報道の裏で渦巻く陰謀を題材にしたサスペンス映画。うまくつくってあって面白い。