映画「ハウス・オブ・グッチ」(2021)の感想。グッチ創業者一族の崩壊。

有名ブランドであるグッチの創業者一族の崩壊を描いた作品。ドラマとしての脚色は少なめで、おそらく事実に基づいた物語になっていると思う。それでもグッチ帝国の豪華さは目を見はるくらいで、誰もが英語を話していても現代のイタリア貴族たちの生活が十分に伝わってくる。

帝国を存続させるという重荷を背負った2代目当主の苦悩が際立つ。その周りには、この息子では危ういと思わせるひ弱な跡継ぎの3代目。芸術家くずれでバカッぽさ炸裂の甥っ子。不用意な野心に染まったその父。破滅を予感させるような駒が揃っている。

そして鬼嫁レディー・ガガの登場。鬼嫁なのは確かだが、激烈なほどでなく抑えた演技で、さすがに存在感は抜群だ。

当主の兄がアル・パチーノに似ていると思ったら、本当にアル・パチーノだった。この枯れ男ぶりはゴッド・ファーザーのときとは対照的。

栄枯盛衰を感じさせる映画だ。