映画「白昼の死角」(1979)の感想。高木彬光原作。

1979年公開の角川映画。高木彬光原作。出演は夏木勲、天知茂、島田陽子。

原作は何度も読み返しているお気に入りの1冊。経済犯罪小説はいろいろあるが、騙しのトリックの鮮やかさは秀逸で、エンターテインメント性という点で抜群の出来だと思っている。

ただ、相当に長い小説でエピソードがいくつも入っているので、映画化するのは難しかったと思うが、本作はかなり端折ってはいるわりにはうまくまとめてある。冒頭の光クラブ事件のところはほぼカットされていて、岸田森演じる隅田光一の狂気がほんのさわり程度なのは残念かな。

騙され役のキャスティングも昭和を代表する脇役陣が揃っている。成田三樹夫、佐藤慶、長門勇、藤岡琢也、藤巻潤。その他にも中尾彬、竜崎勝、丹波哲郎、千葉真一、西田敏行、内田朝雄、草野大悟、柴田恭兵、嵐勘十郎、室田日出男。高木彬光のカメオ出演もある。

何より、鶴岡七郎の夏木勲、検事の天知茂、鶴岡の愛人の島田陽子は原作にピタリとはまった配役だ。この3人のやりとりがストーリーに厚みをもたせている。