映画「ある殺し屋の鍵」(1967)の感想。市川雷蔵主演。

「ある殺し屋」に続く第二弾。前作は市川雷蔵の殺し屋としての渋さで魅せる展開だったが、今回はプロットに重点をおいたストーリーになっている。

政界の実力者が秘密メモをにぎる脱税王の暗殺を目論む。その命令が子分筋から子分筋へと降りていき、暴力団の末端組員から殺し屋新田へ依頼が来る。しかし殺しを実行した後に、組員は新田を消そうとする。新田は間一髪助かったが、依頼主の黒幕をさがして復讐をはかろうとする。

階段を降りるように殺しが実行され、それから階段を上っての復讐劇になる。多層構成と言うべきなのか、場面が次々と変わって展開に緩みが出ない。それぞれの場面はシンプルなのだが、割と引き込まれていく。報酬が階段を下るごとに中抜きされていくのはいつの時代も同じで苦笑いしてしまう。

最後にタイトルの意味が明らかになるが、とってつけたような終わり方になってしまった。でも案外、市川雷蔵が風を切ってクールに去って行くよりもいいかもしれない。