タイトルからは、江戸の政治とは離れて、家康が駿府時代に行った謀略的な裏の政治工作を思い浮かべてしまう。しかし、内容は家康の大御所時代の幕府政治についてまとめたもの。副題の「幕藩体制はいかに確立したか」の方がふさわしい。
著者が歴史学者であり、いたずらに裏読みをして好奇心をあおるようなものではなく、史実に沿った出来事を淡々とまとめてある。
野次馬的な面白味には欠けるが、この時代の背景を知るための項目が並んでいる。御三家での付け家老の存在、水戸藩の特異な位置、宗氏による朝鮮外交、島津による琉球支配、豊臣家の懐柔から滅亡へ導く手立てなど、興味深い記述もある。
江戸初期の時代を知るにはよい本だと思う。