映画「裏切りのサーカス」(2011)の感想。ジョン・ル・カレ原作。

ジョン・ル・カレの「ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ」が原作。

原作を読んでから視聴してみた。原作の雰囲気がかなりよく出ていて、冷戦下のスパイ映画としては、1965年の「寒い国から帰ったスパイ」同様、ジョン・ル・カレ作品のよさが伝わってくる。

薄暗い背景と冷たい足音がいい。ストーリーは完全な頭脳戦であるのだが、表面上はただのオフィスワーカーたち日常のように見える。必要以上の説明は加えず、わずかな言葉のやりとりで全体を描写してしまう。

映像化されているので複雑な人物関係が少しわかりやすくなっている。とくに年齢。それでも、サーカス内部の序列はわかりにくい。上役ほど貫禄があるキャストにするといったごく普通の配慮はない。

左遷から退職を余儀なくされたスマイリーは悲哀を漂わせているが、トップの椅子に腰かける最後の瞬間だけは光って見えた。

トム・クルーズシリーズとは対極にあるスパイ映画。大人向けの作品だ。