映画「ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ」(2016)の感想。

マクドナルド帝国を築き上げたレイ・クロックの物語。

セールスマンとして中西部を走り回っていたレイ・クロックは、ある日、繁盛しているレストランからオーダーを受ける。それはマクドナルド兄弟が経営するハンバーガーショップであった。彼はそこで目の当たりにした革新的なシステムから、フランチャイズビジネスを思いつく。

今となっては伝説となったマクドナルドの成功ストーリーだ。小さな成功例から巨大なビジネスチャンスを見つけ出したクロックは、すかさず兄弟と手を組むことにする。しかしビジネスを始めると、クロックと兄弟のあいだに軋轢が生じていく。互いに見ている世界が違うのだから当然だ。ビッグビジネスを夢見るクロックと庶民感覚で工夫を凝らす兄弟との違い。価値観の違いが溝を広げ、ついにクロックは兄弟を切り離し強引にビジネスを拡大させ、現在のマクドナルド帝国をつくってしまう。

クロックが兄弟から搾取まがいにマクドナルドを手に入れたと見ることもできるだろう。だが、誰もが享受する今の生活の便利さは、クロック流のビッグビジネスに支えられている。マクドナルド兄弟のやり方は、いいものはできるし、それに従事する人にもやりがいを与えてくれる。しかしそういったビジネスが生き残れるかどうかは疑問だ。

クロックを演じたマイケル・キートンが印象的だ。起業家のエネルギーとその裏にある焦燥感をうまく表現している。物語はシンプルながらも、資本主義の光と影を考えさせる味わい深い作品だ。