満島ひかり主演の今風のミステリー。
舞台は、Amazonを彷彿させる外資系の巨大配送センター。そこで荷物に爆弾を紛れ込ませるテロ事件が発生する。配送先で次々に爆弾が破裂し、業務は大混乱に陥る。
ミステリーとしてはまあまあで、2時間枠で放送されるドラマで扱うようなトリックだ。クライマックスの危機一髪も、どこかで見たような感じを受ける。
見どころは、配送センターを舞台にして今の社会が抱える問題を浮き彫りにしたところ。
まさに綱渡りのような配送作業。何かトラブルが発生すれば、業者はもちろんのこと、荷物を当てにする顧客にも多大な影響がある。医療関係までこのシステムに組み込まれているとなると、配送ストップなどありえない。配送業務が社会の中枢インフラの役割を担っているような状態。
そこに働く人のストレスは尋常ではない。とくにマネージャーは、何があっても配送を止めるわけにいかない。ふつうに流れて当たり前の世界。これは苦しい。
システム自体はどれほど近代的、効率的でも、今の世の中はなんと脆弱なシステムの上に乗っているのかと思わせてくれる作品だ。主演の満島ひかりがいい。NHKの江戸川乱歩シリーズで明智小五郎役をやったときもよかったが、ここでも生き生きした演技を見せている。