ジャン=リュック・ゴダール監督、ジャン=ポール・ベルモンド主演のフランスイタリア合作映画。1965年公開。
ベルモンド演じるフェルディナンは、金持ちの妻と子供たちに囲まれ裕福な生活を送っていた。しかし彼にとっては退屈であり、偶然再会したかっての愛人と逃避行を始める。そして殺人や窃盗などめちゃくちゃなことに手を染めるようになる。
人生を揶揄した映画であり、それを体現しているのが主人公のフェルディナンだ。彼は見た目では満ち足りた生活を送っている。しかし、人生では何についても本当の深い部分まではわからないことに不満を持っている。他人とのつきあいなどはその最たるもので、相手がどんな考えを持っているのかは、つきあう上で問題ではない。うわべだけの社交に明け暮れる毎日だけがある。人生とはあらゆる面でこのよう表面的な接点だけで進行するものだというのが彼の考えだ。
本当に信じられるのは表面的な感覚のみ。そういったつきあいで成り立つのは愛人との関係だ。相手のことはよくわからないが、感覚だけは信じられる。だから愛人とは離れられない。
こういう見方をするフェルディナンが刹那的な生き方になるのは必然だ。深く考えることはないので、将来や過去など眼中にない。今だけが彼が生きる場となる。だから犯罪に手を染めても意に介さない。何が起きても笑うしかない状況だ。
人生の刹那的な面を膨らました作品だ。こういう見方もあるなと思うしかないな。