韓国映画「国際市場で逢いましょう」(2014)の感想。

朝鮮戦争後の韓国の発展を背景にした人情物語。

一家族の物語ではあるが、朝鮮戦争以後の韓国発展の歴史が色濃く反映されている。日本では戦後順調な経済発展をたどったが、韓国は朝鮮戦争による荒廃を引きずって、一般市民は長い間厳しい環境に置かれる。この映画は、韓国の発展の歴史と言うよりも苦難の歴史と言えるだろう。

国家の姿が直接に描かれることはないが、西独への出稼ぎ、ベトナム戦争への派兵と、庶民の生きるための苦労を通して韓国の当時の状況が暗に示されている。国民が味わった生活の厳しさは、国力がないことの裏返しであり、非力な国家であることがどれほど庶民生活を圧迫するのかということのあらわれだ。

ストーリーがあまりにも劇的過ぎるのが韓国映画らしいところ。そこが大ヒットの要因でもあるのだろう。離散家族と海外への養子縁組というトピックスもうまく盛り込まれている。

映画用に作り上げた人情劇ではあるが、韓国では実際に同じようなことがあっただろうし、それを考えると胸がつまる作品だ。