立花隆著「「知」のソフトウェア」書評感想。知の巨人の知的生産術。

知の巨人と言われる立花隆氏による情報収集術。1984年初版発行。

少し前の本なので、今から見ると少し時代遅れの部分もある。だが、基本的なところは今でも十分に活用できる。

情報を徹底的に集めて読み込むことが基本。集中して読んでいけば、自然と重要なところに目がいって、それが速読になるというスタンス。完璧主義に陥ることなく、不用なものはバッサリと捨てることもいとわない。アウトプットは名文を書いたり、レトリックなど不要。

それから、できるだけたくさん集めて、できるだけきれいに整理するという情報収集で陥りやすい罠についてもズバリと指摘してある。

情報を頭の中に寝かせ自然発酵させるような方法もあり、論理一辺倒ではなく、経験から得られた手法がいくつも紹介されている。

これだけ膨大な情報を処理できるのは、もちろん立花氏の頭脳あってのもの。一般にはすべて真似することはできないと思うが、大いに参考する点がある。

情報収集の本質を突いた本。おすすめ。

●雑念を捨て去り、ひたすら精神を集中せよ。
●読む価値のないものは読むな。
●無意識の巨大な潜在能力を活用せよ。
●ことさらにレトリックを弄するな。
●オリジナル情報にできるだけ近づけ……。

新聞・雑誌・書物から個人や組織にいたるまで、多様なメディアが発信する膨大な情報を、いかに収集・整理・活用するか。情報の真偽を吟味・加工し、ゆたかな知的生産を行うには、何が必要か。ジャーナリズムの最前線で活躍をつづける著者が、体験から編みだした考え方と技法の数々を公開する。

情報の意味を読む。──コンピュータは自分が処理する情報の意味を知っている必要はない。インプットされた情報を数値化し、それを与えられた演算法則に従って計算し、その結果をアウトプットする。インプットされる情報とアウトプットされる情報の意味は、人間が解読するが、両者の間のプロセスは、意味抜きの演算である。それに対して、人間という情報系では、情報は常に意味付きでなければならない。人間の思考は意味と切り離すことができない。従って、インプット能力は、目や耳の生理的情報受容能力以上に、情報の意味を理解していく能力に左右されることになる。──本書より