佐藤優著「イスラエルとユダヤ人」書評感想

イスラエルは、なぜ強国なのかという点を考察した本。

著者は、ロシアの専門家というイメージが強いが、インテリジェンスや宗教という点からイスラエルについても相当の見識を持っている。もちろんロシアとユダヤ人は密接な関係があるし、中東情勢へのロシアの影響力は大きい。

もともとイスラエルは、他の国とは違った成り立ちをもっているので、理解が難しいところがある。イスラムとの宗教的な対立や、アメリカへの影響などはニュースで知ることができる。だが、ユダヤ教の深い話となるとなかなか難解。特殊な背景があるだけに、とっつきにくい。

著者は、様々な面から複雑なイスラエルを読み解いている。元本の出版が2015年で、その前の7、8年のあいだに寄稿した内容を再編集したかたちなのでやや古いところがあるが、興味深く役に立つ本。