映画「太陽を盗んだ男」(1979)の感想。沢田研二主演。

沢田研二主演のサスペンスアクション映画。何かと話題になる作品で、以前から観てみたいと思っていた。

一介の理科教師が、プルトニウムを盗み出して原子爆弾を作り、政府を脅迫してしまうという荒唐無稽なストーリー。

主演の沢田研二がいい。「勝手にしやがれ」を歌っていた頃の虚無感を抱えるエネルギッシュな若者をうまく演じている。筋金入りの犯罪者というわけでなく、原爆で政府を脅迫しても、テレビの野球中継を延長させたり、ローリング・ストーンズの公演を要求くらいしか思いつかない犯人。不安定な表情は当時の世相を反映している。

一方の体制側には、昭和のにおいがする菅原文太が刑事役で登場する。ヤクザ映画ではないが、まがいもない義理人情の世界に生きる古いタイプのデカだ。

いきなりカーチェイスからアクションシーンが始まる終盤には戸惑ってしまったが、脈絡のない主人公の行動と重なって、ストーリー的にもエネルギッシュな不安定さを示している展開だ。

完成度はそれほどでもないと思うが、カルト的な人気になりそうなめちゃくちゃさがつまった70年代の映画だ。