実際の金融詐欺事件をもとにした香港映画。トニー・レオンとアンディ・ラウ共演。
トニー・レオン演じるチンは、80年代の株式市場ブームにのり資産100億ドルを築き巨大企業グループを立ち上げる。その過程で、裏社会とのつながりや悪徳行為による強引な手法など目に余る行為を行い、当局から監視されるようになる。チンの不法行為を追うアンディ・ラウ演じる捜査官ラウ・カイユンは、執念の捜査を続ける。
身ひとつで香港にやってきたチンの悪の成功物語でもあるが、あまりにもテンポよく実力者にのぼりつめたため、若干拍子抜けする。クセのある人物たちが次々と登場するが、深く突っ込まれないので、回転寿司の流れ行く皿を見送りようなあっさり感だけが残る。
一方、チンを追いつめるラウも、15年ものあいだ執念を燃やし続けるが、公務員的な無難さが目につくような人物造形で、いまいち迫力が感じられない。
実話ベースの作品にしては事件そのもののリアル感が足りない感じがする。返還前の香港社会の資本主義エネルギーはそれなりに感じるが、もう少し緊迫感が欲しかった。