ドラマ「白昼の死角」(1979)の感想。渡瀬恒彦主演。高木彬光原作。

もう一度観たいと思っていたが、なかなか機会がなかったドラマ版の白昼の死角。ようやく東映チャンネルで放送があったので、全9話を観ることができた。

映画版もよかったが、長い原作をだいぶ端折っていて物足りないところもあった。このドラマ版では、ほぼ原作に沿った脚本で、オリジナルのよさがしっかりと映像化されている。

渡瀬恒彦は、映画の夏八木勲同様に鶴岡七郎にぴったりだ。そして目立つのは隅田光一役の山本圭。インテリを演じさせたらこんなにハマる俳優はいないだろう。隅田理論をとうとうと語るシーンなどは、まさに世紀の秀才といった雰囲気。

また、小倉一郎の木島は小心者、岸部シローの九鬼は金持ちのボンボンというキャラで、しっかりと描かれている。映画版の、夏八木勲、竜崎勝、中尾彬は、濃いおじさん軍団という感じで、尺の短さからかキャラの描き分けがはっきりしていなかった。

そのほか検事の天知茂は映画同様に安定感があり、陰の愛人浜木綿子もいい。被害者も名脇役たちがかためている。

敢えて惜しいところをいえば、最後のシーン。鶴岡七郎にあんな死に方は似合わない。ここは映画版の方がよかった。

原作のすばらしさを見事に再現した秀作ドラマ。お蔵入り同然だったのが惜しいくらい。おすすめ。

白昼の死角
東映チャンネル
2025年6月20日-7月18日 金曜日15:00-17:00
(初回放送1979年8月4日-9月29日)