2018年公開の韓国映画。代立軍とは、貧しさのため他人の賦役を肩代わりした人々によって編成された軍のこと。
時代は16世紀末。豊臣秀吉の朝鮮侵攻により、第14代国王・宣祖は北方へ逃避し、世子・光海君は前線対応を命じられる。寄せ集めの代立軍とともに、自軍の駐屯地へ向かう過酷な行軍の様子が描かれる。
いわゆるヒューマンストーリーである。わがままな君主と、しぶしぶ随行する兵士たち。統制もままならない状態で行軍は始まるが、敵の攻撃を受けつつ険しい山道を進むうちに、彼らの間に変化が生まれる。世子には君主としての自覚と民を思いやる心が芽生え、兵士たちには君主への忠誠心が宿っていく。
物語は定番の筋立てながら、丁寧に作り込まれており見応えがある。統制の乱れた軍の空気感、追い詰められる緊張感、迫力ある戦闘シーンはいずれも水準以上だ。とくに光海君を演じたヨ・ジングの表情演技は秀逸で、父に見捨てられた苦悩から心の成長に至るまでを微妙な表情変化で表現している。
近年の韓国映画は、この作品のように高い基礎レベルを確保したうえで、さらに構成や演出の妙を積み重ねる傾向が強い。本作もその一例であり、完成度の高さに納得させられる。