ジョン・ル・カレのスパイ小説。舞台は、イギリスからモスクワ、そしてコーカサス。
元イギリス情報部員の主人公のもとに警察が訪れた。かっての部下が、KGB工作員と共謀して、ロシア政府から大金をだまし取ったという。そして主人公にも共犯の容疑がかかる。そればかりか、主人公の愛人も姿を消し、旧友と一緒らしいことがわかる。
既に冷戦が終わった時点で書かれた作品。引退した情報部員が主人公で、その古い人間がもとの組織から追われるという設定も、冷戦からの時代転換を示唆するようにも思える。
最初からずっとイギリスが舞台でストーリーが進行する。そろそろモスクワに飛んでKGBの秘密が暴露させるかと思ったところで急展開。コーカサスのチェチェン、イングーシを取り扱うところが、時代を先取りしていたのだと思う。
いつものような文体で、夏休みにじっくりと読んで楽しむには、おすすめの一冊。